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[――Tutelary of wind]
「――何か」
「来る――」
刹那、飛来した巨大な質量の塊をふれあが叩き落す。
リズが展開した結界がギチギチと音を立てる。
地面に突き刺さるのは巨大な槍。
「…タマ持ちか。実力者というわけだ。」
槍とともに飛来したのは、銀の鎧を着込んだツインテールの騎士。
地面に半分もめり込んだ槍を片手で苦もなく抜き取ると、
高らかに宣言をする。
「ならばこのエリザ、相応の力で・・・・・・貴様を落とすッ!!」
疾風、神風、花嵐――。
様々な二ツ名があるけれど、どれも一様に美しい風の流れを指し示す。
でも、巨大な槍が作り出す衝撃波は、まさに嵐との噂。
ラズが次々と魔法陣を展開しながら、淡々と説明する。
「――そう。風の宝玉の守護者」
「――何か」
「来る――」
刹那、飛来した巨大な質量の塊をふれあが叩き落す。
リズが展開した結界がギチギチと音を立てる。
地面に突き刺さるのは巨大な槍。
「…タマ持ちか。実力者というわけだ。」
槍とともに飛来したのは、銀の鎧を着込んだツインテールの騎士。
地面に半分もめり込んだ槍を片手で苦もなく抜き取ると、
高らかに宣言をする。
「ならばこのエリザ、相応の力で・・・・・・貴様を落とすッ!!」
疾風、神風、花嵐――。
様々な二ツ名があるけれど、どれも一様に美しい風の流れを指し示す。
でも、巨大な槍が作り出す衝撃波は、まさに嵐との噂。
ラズが次々と魔法陣を展開しながら、淡々と説明する。
「――そう。風の宝玉の守護者」
[――Intention of wind concealed with tutelary]
(――リズ、ふれあ)
長耳の少女が囁くように言葉を紡ぐ。
風に乗せ、他に聞こえないように。
(――援護はするからエリザは任せる)
不可解な要求。
だが突発的な言葉はこの少女がいつも発すること。
何か真意があるのかと、二人は聞き返したりしない。
『――Der Strudel magischer
Anrufe eine ernste Schuld』
氷の塊を射出しながら、さらに魔法陣を展開していく長耳の少女。
あたかも攻撃に集中しているかのように。
だがその大半はダミー。
真意は別にある。
土煙に紛れ、剣を構え突撃をする小さな少女。
少女を避けるように、次の氷を射出する。
それは本命の一撃をひた隠しにするための攻撃。
白い翼を持つ少女がタロットカードを次々とめくっていく。
それは物理的な行為でなく、魔術的な召喚手順。
「奇跡を現世に。叶え給え。」
シュゥゥゥ――――――・・・・・・・・・・
異質な魔力とともに、異界の王がその姿を現し始める。
『――Der Wegweiser universaler Gravitation』
長耳の少女が、牽制とばかりにさらに氷の刃を射出する。
一見すると全力の攻撃。だが違和感のある攻撃。
風の騎士が激昂したかのように叫ぶ。
「この私を、この私を愚弄するかっ!!?」
そう、囲うような攻撃は必殺の一撃ではない。
ワザと戦闘を長引かせるような組み立て。
騎士にとっては手加減とも取れる一手。
「あわわわわわわわラズちゃんばれたよー!!?」
白い翼を持つ少女があわてて放った隕石が大きく反れ、地面を抉る。
「ラズ、もういい?」
それをフォローするかのように突撃を敢行する一寸ほどの小さな少女。
しかしそれは、踏み込みで地面にヒビが入るような強い一撃。
さらに続く足払いを、風の騎士は寸手のところで避わす。
「――時間稼ぎは十分。捕らえた」
魔力の鎖が騎士の進路を塞ぐ。
そしてその前には――異界の王。
怪しく光る4つの瞳。
ゴォゥゥゥゥ――――――……!!
そして閃光――
「なんということだ……ッ」
異界の王一撃を受けてなお、その場に立ち尽くす風の騎士。
だが、勝敗は既に決していた。
「何故だ……何故本気を出さん?」
私にはそれほどの価値はないのか?
口には出さないが、そう問うているも同然の言葉。
「――5対2」
「……なに?」
――捕らえた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それは風の騎士に向けて言った言葉ではない。
複合魔術の中に編みこんだ、必殺の一手。
・ ・ ・ ・
それは探索術式。
舞台裏を暴く必殺の一手。
道 化 師
魔力の糸が、見えない監視者を辿っていく。
だが――
キィィィィィィィィィィイイイン!!
鋭い音とともに術式が破砕される。
フィードバックで長耳の少女の頭から血が噴出す。
「ラズ!!?」
「ラズちゃん!!?」
だが、大丈夫と言わんばかりに手を振る。
見た目は派手だが、少女には慣れた現象。
「――問題ない、計算の範囲内」
……そうか、ヤツか。
一部始終を見守っていた風の騎士が、何かを悟ったかのように言う。
「いいだろう……お前らにこれを渡す」
気に喰わない。
だが、目前の少女達はそれを見破った。
――面白い。
元より約定には従う必要がある。
ここでこれを渡すのには何の問題もない。
「また会うことになるかもしれない」
無造作に宝玉を投げると、その隙に崖に身を投げ出す。
言うが早いか、遥か下方に広がる水面へとダイブしていった…。
[――Clown of nameless]
「やれやれ、面白いことをするね」
これはエリザさんに感謝しないといけないね。
と、道化師は楽しそうに笑う。
――攻性の術式を大量展開。
魔術路に追跡用の術式をバラバラに仕込む。
一つ一つは無意味でも、同時に展開、複合させることで
初めて別の機能を発揮する。
まるでだまし絵のような術式。
「実に手の込んだことをする魔術師だね。
でも残念、惜しかったけどね?」
エリザに気取られないよう、距離を取っていたのが幸いした。
物理的な距離ではなく、位相的な距離。
隠密性を重視した弱い術式を瞬時に破砕。
大丈夫、位置を気取られた心配はない。
「でも邪魔だね? 排除する? 排除する?」
くくくと楽しそうに笑う。
まるで新しいおもちゃを見つけたような笑い。
「これほどの術は事前に準備しないと使えないよね。
こちらの手も止められたよ
向こうはやる気満々のようだよ? 楽しいね」
新しいおもちゃが3つ。
どれにしようかと道化師は愉快そうに笑う。
[――The monologue of a girl with the name of an ore]
夜。暗がりに燃える炎。
遺跡街から少し離れた場所。
「――結果は?」
(追跡には失敗。
障壁からの解析ににも失敗。
手ごわい相手ですなこれは。
三つ目があればあるいは追跡できたかもしれませんが、
いやこれは間が悪かった)
三つ目。風の宝珠。
会話相手は軽口で言ってはいるが、おそらくは三つ目の宝珠があっても
無駄だっただろうと会話相手と少女は確信している。
(それでどうされますか?
邪魔ですし排除されますか?
主のお気に入りに手を出しているようですしね。
主が特定の個体に入れ込むとはまた珍しいことで)
とめどなく話し続ける会話相手。
正確には音による会話ではなく、魔術的な通話。
「――現状維持」
(おや、これは意外。
主が自身に課している、傍観者としての立場ですかな?)
ルール
傍観者としての立場。
すなわち、それが正しく起こり得る事象なら干渉しない。
傍観者であるがために、長耳の少女が自身に課したルール。
今回のケースはちびっことお人よしなミミズク、
そして介入者との確執。異相からの介入には当たるが
元は同じ世界の住人の可能性もある。
現段階での判断には早い。
そもそもこの島自体が異質の塊である。
この状況下で、正しい事象の判断は難しい。
「不確定要素の調査より、本来の調査を優先――」
(つまりは4つ目を確保ですか。得心いたしました。
ですが主よ、向こうから仕掛けてきたらどうされます?
ああ、なるほど。そういうワケですか。
彼女にまた怒られますねそれは )
意味深な言い回し。
そう、長耳の少女が課したルールには二つの抜け道がある。
それは――
(――リズ、ふれあ)
長耳の少女が囁くように言葉を紡ぐ。
風に乗せ、他に聞こえないように。
(――援護はするからエリザは任せる)
不可解な要求。
だが突発的な言葉はこの少女がいつも発すること。
何か真意があるのかと、二人は聞き返したりしない。
『――Der Strudel magischer
Anrufe eine ernste Schuld』
氷の塊を射出しながら、さらに魔法陣を展開していく長耳の少女。
あたかも攻撃に集中しているかのように。
だがその大半はダミー。
真意は別にある。
土煙に紛れ、剣を構え突撃をする小さな少女。
少女を避けるように、次の氷を射出する。
それは本命の一撃をひた隠しにするための攻撃。
白い翼を持つ少女がタロットカードを次々とめくっていく。
それは物理的な行為でなく、魔術的な召喚手順。
「奇跡を現世に。叶え給え。」
シュゥゥゥ――――――・・・・・・・・・・
異質な魔力とともに、異界の王がその姿を現し始める。
『――Der Wegweiser universaler Gravitation』
長耳の少女が、牽制とばかりにさらに氷の刃を射出する。
一見すると全力の攻撃。だが違和感のある攻撃。
風の騎士が激昂したかのように叫ぶ。
「この私を、この私を愚弄するかっ!!?」
そう、囲うような攻撃は必殺の一撃ではない。
ワザと戦闘を長引かせるような組み立て。
騎士にとっては手加減とも取れる一手。
「あわわわわわわわラズちゃんばれたよー!!?」
白い翼を持つ少女があわてて放った隕石が大きく反れ、地面を抉る。
「ラズ、もういい?」
それをフォローするかのように突撃を敢行する一寸ほどの小さな少女。
しかしそれは、踏み込みで地面にヒビが入るような強い一撃。
さらに続く足払いを、風の騎士は寸手のところで避わす。
「――時間稼ぎは十分。捕らえた」
魔力の鎖が騎士の進路を塞ぐ。
そしてその前には――異界の王。
怪しく光る4つの瞳。
ゴォゥゥゥゥ――――――……!!
そして閃光――
「なんということだ……ッ」
異界の王一撃を受けてなお、その場に立ち尽くす風の騎士。
だが、勝敗は既に決していた。
「何故だ……何故本気を出さん?」
私にはそれほどの価値はないのか?
口には出さないが、そう問うているも同然の言葉。
「――5対2」
「……なに?」
――捕らえた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それは風の騎士に向けて言った言葉ではない。
複合魔術の中に編みこんだ、必殺の一手。
・ ・ ・ ・
それは探索術式。
舞台裏を暴く必殺の一手。
道 化 師
魔力の糸が、見えない監視者を辿っていく。
だが――
キィィィィィィィィィィイイイン!!
鋭い音とともに術式が破砕される。
フィードバックで長耳の少女の頭から血が噴出す。
「ラズ!!?」
「ラズちゃん!!?」
だが、大丈夫と言わんばかりに手を振る。
見た目は派手だが、少女には慣れた現象。
「――問題ない、計算の範囲内」
……そうか、ヤツか。
一部始終を見守っていた風の騎士が、何かを悟ったかのように言う。
「いいだろう……お前らにこれを渡す」
気に喰わない。
だが、目前の少女達はそれを見破った。
――面白い。
元より約定には従う必要がある。
ここでこれを渡すのには何の問題もない。
「また会うことになるかもしれない」
無造作に宝玉を投げると、その隙に崖に身を投げ出す。
言うが早いか、遥か下方に広がる水面へとダイブしていった…。
[――Clown of nameless]
「やれやれ、面白いことをするね」
これはエリザさんに感謝しないといけないね。
と、道化師は楽しそうに笑う。
――攻性の術式を大量展開。
魔術路に追跡用の術式をバラバラに仕込む。
一つ一つは無意味でも、同時に展開、複合させることで
初めて別の機能を発揮する。
まるでだまし絵のような術式。
「実に手の込んだことをする魔術師だね。
でも残念、惜しかったけどね?」
エリザに気取られないよう、距離を取っていたのが幸いした。
物理的な距離ではなく、位相的な距離。
隠密性を重視した弱い術式を瞬時に破砕。
大丈夫、位置を気取られた心配はない。
「でも邪魔だね? 排除する? 排除する?」
くくくと楽しそうに笑う。
まるで新しいおもちゃを見つけたような笑い。
「これほどの術は事前に準備しないと使えないよね。
こちらの手も止められたよ
向こうはやる気満々のようだよ? 楽しいね」
新しいおもちゃが3つ。
どれにしようかと道化師は愉快そうに笑う。
[――The monologue of a girl with the name of an ore]
夜。暗がりに燃える炎。
遺跡街から少し離れた場所。
「――結果は?」
(追跡には失敗。
障壁からの解析ににも失敗。
手ごわい相手ですなこれは。
三つ目があればあるいは追跡できたかもしれませんが、
いやこれは間が悪かった)
三つ目。風の宝珠。
会話相手は軽口で言ってはいるが、おそらくは三つ目の宝珠があっても
無駄だっただろうと会話相手と少女は確信している。
(それでどうされますか?
邪魔ですし排除されますか?
主のお気に入りに手を出しているようですしね。
主が特定の個体に入れ込むとはまた珍しいことで)
とめどなく話し続ける会話相手。
正確には音による会話ではなく、魔術的な通話。
「――現状維持」
(おや、これは意外。
主が自身に課している、傍観者としての立場ですかな?)
ルール
傍観者としての立場。
すなわち、それが正しく起こり得る事象なら干渉しない。
傍観者であるがために、長耳の少女が自身に課したルール。
今回のケースはちびっことお人よしなミミズク、
そして介入者との確執。異相からの介入には当たるが
元は同じ世界の住人の可能性もある。
現段階での判断には早い。
そもそもこの島自体が異質の塊である。
この状況下で、正しい事象の判断は難しい。
「不確定要素の調査より、本来の調査を優先――」
(つまりは4つ目を確保ですか。得心いたしました。
ですが主よ、向こうから仕掛けてきたらどうされます?
ああ、なるほど。そういうワケですか。
彼女にまた怒られますねそれは )
意味深な言い回し。
そう、長耳の少女が課したルールには二つの抜け道がある。
それは――
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