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[――The first encounter]
「たのしいなぁたのしいなぁ!」
大地がうねる。
腐臭をぶち撒けながら見えない何かが迫る。
展開した障壁ごと身体を持っていかれる。
二重三重に展開した魔術回路が力の逃げ道を成形していく。
「たのしいなぁたのしいなぁ!」
大地がうねる。
腐臭をぶち撒けながら見えない何かが迫る。
展開した障壁ごと身体を持っていかれる。
二重三重に展開した魔術回路が力の逃げ道を成形していく。
「――うーっ! ヌメヌメする」
不自然なぬかるみに足を取られながら、
一寸ほどの剣士が手早く陣を敷く。
呪詛に対抗するは聖化。
この局面においてはとても正しい選択。
だが疫神の力はその聖域すらも浸食する。
人の耳には聞こえない、ジリジリと耳障りな音。
魔力のせめぎあいが場を支配する。
『――Eine Kette bindet einen Schmerz』
長耳の少女が展開した大規模術式が淀んだ空気ごと
一気に場をなぎ払う――
『――Ein kleiner Ris streckt eine Wunde aus』
さらにもう一撃――
絶対的な力が疫神を蹂躙する――はずが――――
音が大きくなる。
頭痛にも似た、感覚。魔術的な割り込み。
侵食に対し防壁を増やしていく。
押し負ければ待っているのは暴走――
「――…リズ!」
抑えれば押し切れない。
珍しく緊迫した声で長耳の少女が叫ぶ。
「――奇跡を現世に。叶え給え。」
その声が耳に入ったのか入らないのか、リズと呼ばれた少女は
うっすらと額に汗を浮かべつつも、大量のカードを展開する。
3枚を6枚に、6枚を9枚に。
領域に負けない補強。
地の支配下に作られた僅かな領域、だが決定的な空間。
出現しようとした異界の王の姿が、二重三重にぶれる。
[――The second encounter]
「たのしいなぁたのしいなぁ!」
腐臭をぶち撒けながら見えない何かが迫る。
明らかな違和感。
「――うーっ! ヌメヌメする」
不自然なぬかるみに足を取られながら、
一寸ほどの剣士が手早く陣を敷く。
「――ふれあ、リズ」
何かを察した長耳の少女が大量の魔法陣の展開を始める。
魔法陣を組み替えながらも、静かに口を開く。
「――予定変更。30秒稼いで」
話しながらも魔法陣の位置が次々と組みかえられる。
術式のエラーを修正。
外部変数の数値を減少、割り込み回数を減らす。
アクセスを制限して、フローしていた部分を強制的に処理。
ダミーの変数を渡して、一部エラーをスキップ。
手動で魔術回路を次々と組み替えていく。
常識では考えられない展開速度。
長耳の少女だからこそ出来る所業。
「すまん!抜けた!」
「だいじょうぶ」
一回りどころか二周りも三周りも大きな狼を相手に、
小さな角兎が戦場を疾駆する。
その角兎を庇うかのように小さな剣士が剣閃を走らせる。
さらに剣士も疾駆を続け、もう一つの影の鼻先を押さえる。
「バハちゃんおねがいっ!」
『やっちゃうですー!』
『Ready&Go』
有翼種の呼び出した「それ」が咆哮を上げる。
まるで怒りを上げるように。
領域の奪い合いをするかの如く、空間ごと振動を繰り返す。
さらに空中に3枚のカードが舞う。
Ace of Pentacles――空間の支配を制する力。
勝負はここで決した。
――時間稼ぎは十分、あとは任された。
長耳の少女が口を開く。
ワンオーセック リミットブレイク
『――10秒間の限定開放』
[――Line of vision of Alwan]
「あやぁ?あたしどうしちまったんだぁ?」
ペリケペルカと呼ばれたそれは、既に人の形をしていない。
髪だった部分は緑色に染まり、さらなる異臭を放っていく。
無造作に転がる深い翠の珠。
だが、何かがおかしい。
「ラズ、なにか変?」
「――大丈夫。半分は解決した」
「おい!」
つまりそれは半分は解決してないという意味。
だが、この魔術師がこういう言い方をした以上
これ以上の追求は無意味だろう。
姐さんがしきりに首を傾げている。
「変な臭い、なくならない」
そう、違和感の正体。
・ ・ ・ ・ ・ ・
浄化されたはずの空間に気配が残っている。
見れば羽兎娘も顔が青い。
空間に毒されているのか、それ以外の何かが見えているのか。
「――空間凍結の一種。
閉じられた時間を繰り返す禁呪」
長耳の少女が端的に説明する。
口調こそ淡々としているが、言葉には緊迫感を感じる。
「――穴は開けた。固定は無理。
だから早く移動する」
空間凍結…例の妨害者は出し抜いた。
では誰が――?
不自然なぬかるみに足を取られながら、
一寸ほどの剣士が手早く陣を敷く。
呪詛に対抗するは聖化。
この局面においてはとても正しい選択。
だが疫神の力はその聖域すらも浸食する。
人の耳には聞こえない、ジリジリと耳障りな音。
魔力のせめぎあいが場を支配する。
『――Eine Kette bindet einen Schmerz』
長耳の少女が展開した大規模術式が淀んだ空気ごと
一気に場をなぎ払う――
『――Ein kleiner Ris streckt eine Wunde aus』
さらにもう一撃――
絶対的な力が疫神を蹂躙する――はずが――――
音が大きくなる。
頭痛にも似た、感覚。魔術的な割り込み。
侵食に対し防壁を増やしていく。
押し負ければ待っているのは暴走――
「――…リズ!」
抑えれば押し切れない。
珍しく緊迫した声で長耳の少女が叫ぶ。
「――奇跡を現世に。叶え給え。」
その声が耳に入ったのか入らないのか、リズと呼ばれた少女は
うっすらと額に汗を浮かべつつも、大量のカードを展開する。
3枚を6枚に、6枚を9枚に。
領域に負けない補強。
地の支配下に作られた僅かな領域、だが決定的な空間。
出現しようとした異界の王の姿が、二重三重にぶれる。
[――The second encounter]
「たのしいなぁたのしいなぁ!」
腐臭をぶち撒けながら見えない何かが迫る。
明らかな違和感。
「――うーっ! ヌメヌメする」
不自然なぬかるみに足を取られながら、
一寸ほどの剣士が手早く陣を敷く。
「――ふれあ、リズ」
何かを察した長耳の少女が大量の魔法陣の展開を始める。
魔法陣を組み替えながらも、静かに口を開く。
「――予定変更。30秒稼いで」
話しながらも魔法陣の位置が次々と組みかえられる。
術式のエラーを修正。
外部変数の数値を減少、割り込み回数を減らす。
アクセスを制限して、フローしていた部分を強制的に処理。
ダミーの変数を渡して、一部エラーをスキップ。
手動で魔術回路を次々と組み替えていく。
常識では考えられない展開速度。
長耳の少女だからこそ出来る所業。
「すまん!抜けた!」
「だいじょうぶ」
一回りどころか二周りも三周りも大きな狼を相手に、
小さな角兎が戦場を疾駆する。
その角兎を庇うかのように小さな剣士が剣閃を走らせる。
さらに剣士も疾駆を続け、もう一つの影の鼻先を押さえる。
「バハちゃんおねがいっ!」
『やっちゃうですー!』
『Ready&Go』
有翼種の呼び出した「それ」が咆哮を上げる。
まるで怒りを上げるように。
領域の奪い合いをするかの如く、空間ごと振動を繰り返す。
さらに空中に3枚のカードが舞う。
Ace of Pentacles――空間の支配を制する力。
勝負はここで決した。
――時間稼ぎは十分、あとは任された。
長耳の少女が口を開く。
ワンオーセック リミットブレイク
『――10秒間の限定開放』
[――Line of vision of Alwan]
「あやぁ?あたしどうしちまったんだぁ?」
ペリケペルカと呼ばれたそれは、既に人の形をしていない。
髪だった部分は緑色に染まり、さらなる異臭を放っていく。
無造作に転がる深い翠の珠。
だが、何かがおかしい。
「ラズ、なにか変?」
「――大丈夫。半分は解決した」
「おい!」
つまりそれは半分は解決してないという意味。
だが、この魔術師がこういう言い方をした以上
これ以上の追求は無意味だろう。
姐さんがしきりに首を傾げている。
「変な臭い、なくならない」
そう、違和感の正体。
・ ・ ・ ・ ・ ・
浄化されたはずの空間に気配が残っている。
見れば羽兎娘も顔が青い。
空間に毒されているのか、それ以外の何かが見えているのか。
「――空間凍結の一種。
閉じられた時間を繰り返す禁呪」
長耳の少女が端的に説明する。
口調こそ淡々としているが、言葉には緊迫感を感じる。
「――穴は開けた。固定は無理。
だから早く移動する」
空間凍結…例の妨害者は出し抜いた。
では誰が――?
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