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■鎧の概念

(armor)とは、装備者の身体を剣や槍、
矢などの武器から防護するための衣装の事。



特に重要な臓器が密集する胴や心臓部である胸を守るもの、
ガントレットや小手のように武器の持ち手を保護するものなど、
急所や局所を守る目的で用いられる。

素材は時代や用途とともに推移しているが、
革や青銅、鉄、心中や木や骨など多岐に渡る。

また、同じ素材でも金属を鎖状にしたチェインメイル、
より硬度の高い小さな輪と鎖を組み合わせたリングメイル、
皮製の防具の裏地に細い金属板を何枚も組み合わせた
ブリガンダインなど様々な工夫がされている。

その中でも、特に全身を保護するものをプレートアーマーと呼び、
特に金属板を組み合わせて構成されることが多かった為、
板金鎧とも呼ばれた。

また、全身をくまなく覆うことから
フルプレート(フルプレートアーマー)と呼ばれる場合もある。



■プレートアーマーについて

フルプレートの総重量は軽く数十キロを突破する。
しかし一方で、重量を分散させるような工夫がなされており
訓練した人間であれば着用したまま戦闘も可能だったようである。

倒れたら自力で起き上がれないという話は正しくは無い。
実際には着用したまま馬に飛び乗ったり、白兵戦においては
質量で相手を圧倒することも可能であったようだ。

ではそんな話がどこからでたのか。

フルプレートは馬上で使うものであり、
落馬したら捕虜か死の道が待っているという話からであろう。

数十キロの塊が落下すれば
いかな達人といえどタダではすまない。
当然の話である。


実用性にも富んだプレートアーマーであるが、
現在プレートーアーマーと呼ばれている全身鎧は
戦場での騎士の重要性が低下した時代から登場した。

その役目は、身体の保護であると同時に旗頭としての用途。
身分を象徴するために華美な装飾が施された。

指揮官用であるからして、馬上で使う事は多かったのであろう。


また、褒章として承った鎧など
着る事を前提とせず飾る用途で作られた鎧もあるようである。
現代残っている鎧の大半がこれであるという一説もある。



■武器とプレートアーマーの歴史

鎧である以上、プレートアーマーの従来の用途は防護にある。
実際鉄の塊であるからして、矢や槍には強かったようだ。

しかし、それは「プレートアーマーに対抗できる武器」
の開発を促すこととなる。


事実、大型のクロスボウであれば装甲を貫通し、
メイスなどの打撃武器であれば装甲は凹み中は骨折。

モーニングスターのような突刺と打撃を組み合わせた武器や
エストックのように鉄板を貫く威力をもった武器。

さらにはパイクなどのように馬の突進力を逆利用したものや、
馬から引きずりおろすための捕縛具なども開発された。


一時はこれらの武器に対抗するべく一層の重装化が進んだが、
同時に軽量化の動きも盛んに行なわれた。

しかし最後には、飛び道具の進歩…特に銃器が登場してからは
衰退の一途をたどる事になる。



■プレートアーマーの生産

プレートアーマーは重量の負荷分散や
行動の自由を確保するため身体にフィットさせる必要があり
その特性上、オーダーメイドが基本であった。

しかし、オーダーメイドである以上非常に高価であり
鎧を先代から引き継いで改造再利用したケースも多かったようだ。


どちらにせよ一般の兵士に手の出せる値段ではなく、
一般の兵士はリングメイルやブリガンダインなど比較的安価で
効果の高いものを利用していたようである。



■避熱の問題

プレートアーマーは金属の塊である。
つまり、内側に非常に熱がこもりやすく
熱中症の原因にもなったようである。

プレートアーマーの下地がチェインメイルなのは
防御のためだけでなく、避熱のためともいわれている。
革を使用するより通気性が良かったようだ。

キルト…布を何層にも重ねて使う場合もある。
この場合は布地の間接部分にチェインを貼り付けて
補強していたようだ。

いずれにせよ、通気性はプレートアーマーの生命線であり
高価な鎧の下地には通気用の小さな穴が開けられたり
していたようだ。


他、サーコートなどはサーの名の通り身分を表すもの
であると同時に、金属面を直接露出させないことで
加熱を防ぐ目的もあった。



■アタッチメントパーツ

全身で一式のイメージが強いプレートアーマーではあるが、
用途によりパーツを組み替えていた歴史もあるようである。

中には手の甲に板金を補強した打撃用ガントレットや、
手甲剣が付いたものなどもあったようである。

いずれにせよ一人で着れる物ではないので
従者は必須であったようだ。



■ファンタジー世界のプレートアーマー

それではファンタジー世界での実用性はどうだろう。
雨のように矢が降ってくる戦場においては全身鎧の有効性は高い。
避けることがまず不可能な局面では、防ぐしか手段が無い。

しかし冒険中においてはどうであろう。
冒険中においては密集陣形を取る事は稀である。

防御力はウリではあるが、人外の魔物を相手にすれば
質量差で押し切られるだろう。

さらに、プレートアーマーは重さと避熱の問題で
着用者の体力をジリジリと削っていく。

冒険においては防御力と同時に機動力と持久力が
要求されるため、実用するためにはいくつかの問題を
クリアしなければならないようだ。


「魔法で」機動力と持久力の問題が解決するならば
優秀な装備になりえるが、今回のテーマでそれを言うのは
無粋であろう。

人対人の戦いであれば「質量」は大きな武器になりえる。
中型の動物の牙や爪であれば、十分守りきれるであろう。
(体当たりや圧し掛かりなどは注意が必要であるが)

極限まで身体を鍛えるなどすれば、あるいは重さに関しては
クリアが可能かもしれない。あとは特殊な製法で通気性が
確保できればあるいは実用に足るであろうか?


いずれにせよ、プレートアーマーには浪漫が詰まっていると言えよう。
素晴らしきイベントに乾杯を。

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