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彼の者は永劫とも思える眠りの中で生きてきた。
彼の者に付き従うは彼の者と共にある者。
共にある者は、眠りに付いた彼の者をひたすら見守り続けた。
否。今なお見守り続けている。
肉体を失い、魂のみの存在になっても。
魂を器に封じられ、力の大半が使えなくなっても。
ただただ、それが己の役目とばかりに。
…そう。
猫のぬいぐるみなんていうファンシーな物に封じられ、
女子供のおもちゃと化している今もなお。
――夢猫ふれあ(1566)の場合
夢猫ふれあ。
身長10cm。人型。いつも寝ている。
衣装や言動から察するに東洋系の出身。
古風な言い回しをする事があるから、多分相当長い時間を生きてる。
眠りにより時間の経過に耐えるのは、稀に使われる手法。
その目的は肉体の劣化を軽減すること。
ただ、その手の術は本人への精神的負担が大きい。
にもかかわらず、そういう延命処置を取るということは
長期に渡る使命、宿命を秘めている可能性が高い。
ふれあの魔力は不思議な形をしている。
内から外に出ようとする力と
外から内に封じようとする力。
二つのせめぎ合い…
そう、それは何かの封印のような…。
これ以上は推測なので、本人が語るまで追求しない事にする。
ふれあやアルワンが使っている術は…古神道に連なる術式。
それは自然と共に生きるものの自然調和。
神道と古神道の違いは、宗教として昇華されているか否かの差。
神道の始まりは、もともとは東洋の島国の精霊信仰が始まり。
それに外の世界の宗教の経典が入ってきて、
独自の神道と言う形に昇華させた。
自然(精霊)の力を借りるか、神と名の付いた精霊に祈るかの差。
古神道も神道も、その本質は同じ。
そんな中でふれあがこれまでに使った術式は主に二つ。
一つは身体強化系。
骨格を強化し、筋肉の密度を増し、
力の伝達をスムーズにすることで爆発的な力を生む。
それは魔術というより武術に近い。
もちろん武術的要素だけであの質量は生み出せないから
魔術的要素も絡んでいるけど。
意識してなのか、無意識なのかは不明だけど
強化系の魔術を発動させているのは間違いないと思う。
…無意識の可能性が高いけど。
二つの魔力のせめぎ合いが何か干渉を起こしているのかも。
二つ目は降霊術。
…降霊術と言う表現であってるかは微妙だけど
アルワンの魂をぬいぐるみに封入した術。
本来は大掛かりな儀式魔術で、術式はとても複雑。
ふれあは力は強いけど術の組み立ては苦手。
それでどういう手法を取ったかというと…
こう、素手でムンズと魂をひっ捕まえて力技でねじ込んだ感じ。
霊力が強いから出来ることなんだけど、かなり大雑把。
案の定、術に歪が出て魂が抜けかけてた。
魂の剥離は存在の分断、異質の存在への変化…
つまりアルワンと言う固体の消滅を意味する。
感動のフィナーレも近かったんだけど、
偶然が偶然を呼んで今はなんとか定着している。
(しっぽに揺れる小さな鈴)
それは抜けかけた魂に打ち込まれた一本の楔。
偶然で助かったアルワンは運が良いと思う。
本人はご立腹のようだけど、
その鈴は時が来るまで外さない方がいいと思う。
――アルワン(1566)の場合
猫のぬいぐるみ。
本人曰くミミズクの神霊。
霊体としての純度・密度は高かったから格が高いってのは本当かも。
でも今は猫。
否。猫のヌイグルミ。
猫のヌイグルミに魔力は無く、ヌイグルミには結印を結ぶための指もない。
地面に魔方陣を書くのもヌイグルミには酷だと思う。
にも関わらず、アルワンは術を発動する。
トリガーになる文言、残りは頭の中のイメージのみで魔方陣を描く心象結印?
さらには魔術の燃料たる魔力…霊力? は、ふれあの中にある力を借りている。
心象結印は詳細な部分まで想い描く事が必要な超の付く高等技術だし、
他人の魔力を流用するのも高等技術。
波長を追ってきたと言っていたし、
魔力的にはふれあとの相性もあるんだろうけど…
自らの魔力を封じられて、魔力を使わず術を起動出来るのは
術師として超一流の部類に入ると思う。
――超一流の猫のヌイグルミって言ったら殴られた。
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