偽島14日目 『ラズの手記 その７ ～魔法編（番外編１）～』

人が三人集まれば、外見も性格も全く違うように
魔術師が３人集まれば、その術式は大きく異なる。

特に出身や出自が違えばその差は顕著になる。



――アレキサンドライト・リスティス（1566）の場合

「うーん、よく分かんない☆ミ」
「私も分からないですぅ」
『We are moving satisfactorily.
　Then， doesn't it arrange?』

うん、概ね予想通りの答え。
天使の羽と兎の耳を兼ね備えた少女。

獣人と神族の混血？
でも膨大な魔力と負荷に耐え切れない脆弱な身体は純血種の特徴。
ヘテロクロミア（オッドアイ）も魔力に対する肉体変化の場合があり、
こちらも強い魔力を持つ傾向にある。

外見年齢は10歳前後身長は120cm前後。
実年齢は不明。見た目通りの年齢でないことだけは確か。

使う術式はタロット（魔術媒体）を元にした魔方陣と呪文による起動。
それと、リズに付き従う自立行動型の使い魔の二系統。


大アルカナと小アルカナを組み合わせるタロットは
１枚１枚が違う意味を持つため、術具として定番。

単枚としても魔方陣として機能するし、
複数枚使用する事で大規模魔方陣を展開することも可能。

カードを基点に魔方陣を正式に起動、
そこから召喚に繋げてる模様。
術具の利用は詠唱短縮に大きな効果がある。

（さらにカードに名前を書き入れたりして強度を上げる場合もある）


今は単枚からの起動だけど、
リズの魔法的素養なら過去・現在・未来を掛け合わせる
時間軸複合式やもっと上位の儀式魔術まで使えると思う。

本人は普通に占いの道具としても使っている。
信頼できる術具は力を何倍にも増幅する。


もう一つの術具は使い魔的存在。
…仲が良いから使い魔とか言うと怒られそうだけど。

一般に使い魔と言っても、その意味合いは広い。


力の弱い動物や魔物と契約し、
その対価に魔力やそれに変わる何かを与える場合。
魔術士上位の契約。

純粋に自分の魔力だけで練り上げる自動人形。
ゴーレムやガーゴイルや竜牙兵などが有名。

精霊などのように友好関係を元に結ぶ対等関係。
逆に力の強い者が気まぐれで結んでくれる守護者的存在。
この辺は使い魔と言う表現を使わず、契約者とか盟友とか呼んだりする。


リズの場合は力関係で言えば使い魔なんだけど、
普段の会話を聞いていると盟友（対等関係）という不思議な状態。


リズが使っているユニゾンイン（魔術融合）という術式は
相当相性が良くないと出来ない危険な術式。

融合しただけで意識の混濁を起こしたり、
少しでもズレがあると、当たり前のように精神崩壊を起こしたり、
肉体的な負荷も大きく血管破裂とかは序の口。

それに加えて維持も大変で、
何かの衝撃でバランスが崩れても大事になるような危険魔術。
術者への負担が大きく、長時間の使用も危険。

普通に考えれば禁呪指定されていても不思議でないくらい。

にも関わらず戦闘可能レベルの融合をしていると言う事は…
独立意識を持った使い魔というより、

『+ アレキサンドライト・リスティス専用に調整された術具 』

と言う表現の方が正しいかも。

言ったら泣きそうだから言わないけど。
リズにとっては今の関係が一番幸せだと思う。

（…ひょっとしたら気が付いた上でそう振る舞ってるかも）